【講演会開催】急増する外国人労働者の権利保護へ

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ASEAN×警視庁×弁護士、民間初(※1)の“労働法講演”で日本の外国人労働問題に切り込む

アディーレ法律事務所は、ASEAN東京委員会(ACT)および警視庁と連携し、2025年6月18日、民間法律事務所としては初となる労働法に関する講演会を開催いたしました。急増する外国人労働者の権利を守るため、ASEAN加盟10か国の領事担当官に対し、日本の労働法規の概要とトラブル発生時の初期対応について解説しました。警視庁からは、外国人の日本での生活をサポートし、事前に犯罪を抑止するという予防的な観点からの取り組みについて講演がありました。

写真左から
ジェフリーメイヤー 一等書記官(マレーシア大使館)
島田さくら 弁護士(東京弁護士会所属)
加来祐二 警視(警視庁組織犯罪対策部 国際犯罪対策課課長代理)

背景:過去最多の外国人労働者と潜在化するトラブル

厚生労働省の発表(※2)によると、日本国内の外国人労働者数は2024年10月末時点で約230万人に達し、過去最高を更新しています。国籍別ではベトナム、フィリピン、インドネシアといったASEAN諸国出身者が増加傾向にあります。政府も6月を「外国人労働者問題啓発月間」(※3)と定め対策に乗り出しています。しかしその一方で、給与の未払いや不当な解雇といった労働トラブルに直面する外国人労働者は少なくありません。言語の壁や日本の労働法に関する知識不足から、問題が深刻化するケースが見られます。

講演会の様子:具体的な事例と実践的な初動を解説

本講演は、2025年のASEAN議長国(※4)である在日マレーシア大使館からの要請を受け実現したものです。当日は、在日ASEAN加盟10か国の大使館から領事担当官ら約20名が参加し、熱心に耳を傾けました。登壇した島田さくら弁護士は、外国人労働者が直面しがちな労働トラブルについて、具体的な事例を交えながら法的なポイントと初期対応を解説しました。

給与・残業代未払い:「遅刻したら罰金」といった予め罰金額を定めるルールや、給与からの一方的な天引きは違法であること。

証拠の重要性:トラブル解決には客観的な証拠が不可欠であるとし、雇用契約書や給与明細の保管に加え、タイムカードの写真撮影や、パワハラ発言の録音(相手の許可は不要)といった具体的な証拠保全の方法があること。

解雇:不当な解雇に直面した場合の初動として、会社に「解雇理由証明書」の交付を求めることの重要性を指摘。特に外国人労働者の場合、在留資格への影響もあるため迅速な対応が必要であること。

相談先の紹介:労働基準監督署や、無料相談・弁護士費用の立替制度がある法テラス(日本司法支援センター)など、状況に応じた公的な相談窓口の役割と利用方法について。

実施概要

日時:2025年6月18日(水)
会場:在日マレーシア大使館 ブンガラヤ多目的ホール(東京都渋谷区)
対象:在日ASEAN加盟10か国の大使館の領事担当官(約20名参加)
主催:在日マレーシア大使館(ASEAN東京委員会(ACT)議長国として)
登壇者:島田さくら 弁護士(東京弁護士会所属)
    加来祐二 警視(警視庁組織犯罪対策部 国際犯罪対策課課長代理)

ジェフリーメイヤー 一等書記官のコメント(主催者)

警視庁の講演では、日本にいる外国人労働者が犯してしまう犯罪について詳細に語っていただきました。それに続くアディーレの講演は外国人労働者をどのように保護できるかという側面に光をあてたもので、お互いに必要なものを補完しあいながら行えた講演会になり非常に良かったと思います。扱っていただいた具体例もハラスメントや賃金の問題など日本にいる外国人の方が直面していることで有益なお話でした。

島田さくら 弁護士のコメント(登壇者)

各国の領事担当官の皆さまが、自国民の保護のために非常に熱心に問題意識を持たれていることを改めて感じました。講演の準備でASEAN各国の制度を調べる中で、日本の残業代割増率が比較的低いことなど、日本の労働環境が抱える課題にも気づかされました。本日の情報提供が、領事館の皆さまを通じて、一人でも多くの外国人労働者の方の権利が守られるきっかけになることを願っています。

島田さくら弁護士 プロフィール

所属: アディーレ法律事務所
学歴: 中央大学法学部卒業、大阪大学大学院高等司法研究科修了
資格: 2010年:司法試験合格、2012年:弁護士登録(東京弁護士会所属)
専門分野: 労働トラブル(解雇、未払い残業代請求、ハラスメントなどの労働問題全般)
主なメディア出演: 『す・またん! ZIP!』(読売テレビ)、『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)ほか多数。