ブラックOKの買取り金融は危険!借金の対処法を弁護士が解説

「『買取り金融』ならブラックリストに載ってても使えるって本当?」

買取り金融とは、商品の売買をしているように見せかけて高利でお金を貸し付ける、新手の闇金のことです。確かに買取り金融であれば、いわゆる「ブラックリスト」に載っていても(事故情報が信用情報に登録された状態であっても)、利用できる可能性はあります。

しかし、買取り金融を利用してしまえば、「商品の代金」や「違約金」などの名目で法外な利息の支払いを強いられることになりかねません。これでは、一時的に現金を手に入れられたとしても、借金問題の解決からはかえって遠ざかってしまいます。

既に事故情報が登録されているならば、借金の額や返済の負担を減らすための「債務整理」をする方が、生活を根本的に立て直せる可能性があります。

この記事では、次のことについて、弁護士が解説します。

  • 買取り金融の手口
  • 買取り金融からの被害
  • 借金問題を解決するための「債務整理」

「買取り金融」とは、新手の闇金

「買取り金融」とは、商品の売買代金のやり取りをしているように見せかけて高利でお金を貸し付ける、新手の闇金のことです。

商品の売買という形式に見せかけることで、高利での貸付などを規制する「貸金業法」などの法令の規制を逃れようというものです。

商品の売買という形式を取っているなら、高利でお金を貸す闇金とは違うんじゃないですか?

たとえ商品を売買する形式に見えても、次の2つを満たせば実質的にはお金の貸し借り(貸金業)に当たる可能性があります。
• 利用者、業者ともに商品の売買を目的としておらず、実質的には「お金の貸し借り」に当たる
• 業者がこのような行為を反復継続して一定の規模で行っている
そのため、業者が貸金業法で定められた登録をしていなかったり、違法な高利を取り立てている場合には、「闇金」と変わらないということになるのです。

ここ数年程の間、「給与ファクタリング」という方式の闇金が広がりました。
給与ファクタリングとは、「給料を受け取る権利」を業者が買い取ってお金を渡すというものです。

利用者は、給料日よりも前にお金を受け取ることができる代わりに、高利での手数料(例:給与の半額近く)を取られるため、受け取れるお金は元々の給与よりも大幅に減ってしまいます。また、厳しい取立てに苦しむ人も少なくありませんでした。

このような給与ファクタリングについては金融庁が規制に乗り出したため、法の抜け穴を通って新たに出てきたのが「買取り金融」です。

新型コロナウイルスの影響で収入が減った人を中心に、買取り金融による被害が広がっています。

参考:ファクタリングに関する注意喚起|金融庁

買取り金融の主な手口とは?

買取り金融の手口には、主に次の2つがあります。

  • 後払い型
  • 先払い型

それぞれについてご説明します。

後払い型

後払い型の買取り金融とは、次のようなものです。

  1. 利用者が商品を購入、レビューを書込み
  2. 業者からレビューへの報酬の振込み(※)
    (融資)
  3. 商品代金の名目で、商品に釣り合わない高額な金額を請求
    (利用者の給料日などのタイミング)

(※)融資の名目には様々なものがあり、例えば、キャッシュバック名目で融資する手口もあります。

参考:「今すぐ現金」「手軽に現金」にご注意ください! ~いわゆる 後払い(ツケ払い)現金化 に要注意~|金融庁

先払い型

先払い型の買取り金融とは、次のようなものです。

  1. 利用者が商品の画像を送信
  2. 業者から商品代金の振込み
    (融資)
  3. 商品を送らなかったことを理由に、高額の違約金を請求

買取り金融に手を出すとどうなる?

買取り金融に手を出してしまった場合、次のような被害に遭うおそれがあります。

  • 高額の請求を受けるおそれ
  • 厳しい取立てを受けるおそれ
  • 個人情報を悪用されるおそれ

それぞれについてご説明します。

高額の請求を受けるおそれ

繰り返しになりますが、買取り金融に手を出すと、もともとの商品の価格に見合わない高額の請求(商品価格の数倍)を受ける可能性があります。

厳しい取立てを受けるおそれ

また、業者から請求された金額を支払うことができなかった場合には、闇金同様の厳しい取立てを受ける可能性もあります。

例えば、次のような取立てが考えられます。

  • 深夜や早朝に何度も催促の電話がかかってくる
  • 家族や職場などに不払いの事実を伝えると脅される
  • 自宅に直接取立てに来て、大声で騒がれる

手口こそ従来型の闇金と違っていても、このような違法な貸付を行う業者は根本的には同質のものです。
ですから、闇金同様の被害を受ける可能性がありますので注意が必要です。

個人情報を悪用されるおそれも

さらに、個人情報を悪用されるおそれもあります。

業者とのやり取りの際には、氏名や住所、電話番号、入金先の口座などを伝えているケースが少なくありません。これらの個人情報が知らない間に悪用されたり、ネットに流されるなどの被害に遭ってしまう懸念があります。

既に買取り金融の被害に遭った方の相談窓口

既に買取り金融を利用してしまった方は、迅速な対処が必要です(まだ利用していない方は、絶対に利用しないでください)。
買取り金融の被害についての主な相談先は、次の2つです。

  • 金融サービス利用者相談室

金融庁が設けている、金融サービス一般についての相談窓口です。相談すると、電話にてアドバイスをもらうことができます。

  • 消費者ホットライン

消費者庁が設けている、消費生活全般の悩みについての全国共通の電話相談窓口です。電話をかけると、最寄りの相談窓口へつないでもらうことができます。

参考:金融サービス利用者相談室 皆様の「声」をお寄せください!|金融庁

参考:消費者ホットライン 被害にあったら|消費者庁

先ほどご説明したように、買取り金融からは不当な高額請求や厳しい取立てなどを受けるおそれがあります。

買取り金融を既に利用してしまった方は、一人で抱え込まずにこれらの相談先に連絡しましょう。

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借金の返済が大変なら、早めの「債務整理」を!

「買取り金融でお金を借りようか」と思って調べていた方の大半は、消費者金融や銀行などから既に借金できなくなっているのではないでしょうか。

買取り金融に手を出せば、一時的には乗り切れるかもしれません。ですが、買取金融は高額の手数料を取られますので、たちまち生活に行き詰まる可能性が高いです。

それどころか、買取り金融の業者から闇金同様の被害を受けることとなるリスクがあります。

ですので、買取り金融には手を出さず、別の根本的な手段で借金問題を解決することが肝心です。そのための方法が、借金を軽減できる可能性のある「債務整理」です。

債務整理には、主に次の3種類があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

それぞれについてご説明します。

(1) 任意整理

任意整理とは、次のような手続きです。

  1. 適正な利率に基づいて、負債(借金など)の適正な額を再計算
    支払い過ぎた利息があれば、その分借金を減額
  2. 支払いの負担を減らせないか、個々の債権者と交渉
  3. 話合いがまとまれば、支払計画に沿った支払い

例えば、次のような方法で支払いの負担を減らすことを目指して債権者と交渉します。

  • 支払期間の長期化→毎月の支払額の減額
  • 今後発生するはずだった利息のカット→総支払額の減額

任意整理の特徴の1つが、支払っていける見込みがあれば、債権者ごとに任意整理の対象とするかどうかを選べるというものです。

例えば、確実に支払っていけるのであれば次のようなものを手続きの対象から外して、日常生活への影響を抑えることができます(※)。

  • 住宅ローンや車のローン
  • 奨学金など、迷惑をかけたくない保証人がいる負債

※一部の債権者を手続きから除外すると、支払いが滞ってしまうところがあるという場合、このような対処はできません。また、このような場合には、より大幅な減額の可能性がある「個人再生」や「自己破産」の検討もおすすめです。

(2) 個人再生

 個人再生とは、裁判所から認可を得たうえで、基本的に減額された負債を原則3年間で分割して支払っていく手続きです。

負債がどれくらい減額されるかは、負債の総額や、所持している財産などによって異なります。
基本的には、任意整理よりも大幅に減額することのできるケースが多いです。

また、条件を満たしていれば、住宅ローンの残った自宅は手放さずに、それ以外の負債を減額することができる場合があります。

※個人再生をしても、税金など一部の支払義務については、減額することはできません。

(3) 自己破産

 自己破産とは、原則全ての負債についての支払義務を裁判所から免除してもらうことを目指す手続きです。

自己破産の手続きをする場合、一定の財産は債権者への配当などのために手放さなければならない可能性があります。例えば不動産や手続き前からあった99万円を超える現金などは、手元に残すことが困難です。

他方で、価値の乏しい一定の財産などは、手元に残すことができます(査定しても価値がなく、かつローンも残っていない自動車など)。

また、警備員など一定の職種・資格については、手続き中従事できなくなる期間があります。

このような注意点はありますが、3つの手続きの中で支払いの負担を最も軽くできる可能性のあるのが自己破産です。

※自己破産をしても、税金など一部の支払義務については、無くすことはできません。

「債務整理をするとブラックリストに載るんでしょ?」とお思いの方へ

 債務整理と聞くと、「ブラックリストに載るのは嫌だ」と言われる方が少なくありません。確かに、債務整理をすると一定期間「ブラックリスト」に載ります。

ですが、2~3ヶ月程度支払いを滞納したことのある方の場合、既に「ブラックリスト」に載っている可能性が高いです。

消費者金融や銀行などの金融機関に「ブラックリスト」という名前の名簿はありません。

個人のクレジットカードやローンの申込み、契約、支払いなどの状況についての情報を「信用情報」といい、信用情報の中でも、支払いの延滞や債務整理などの情報を「事故情報」と呼ぶことがあります。この事故情報が登録されることを、俗に「ブラックリストに載る」といいます。
既に事故情報が登録されているのであれば、これ以上借金できない点は変わりません。むしろ、早めに債務整理をした方が、その分早く借金から解放されて事故情報も削除される可能性があります。

早めに債務整理をすれば、その分早くブラックリストから削除される可能性もある

事故情報は、一度登録されたら永遠に残るというわけではありません。借金を無くすなどしてから一定期間が経てば、事故情報は削除されます。
例えば、任意整理の場合、完済してから約5年経つと事故情報は削除されます。

今、借金をたくさん負っている状態で住宅ローンを組もうとしても、審査が通らない可能性が高いでしょう。
ですので、「将来は家族のために住宅ローンを組みたい」などとお考えの方は、早めに債務整理に踏み切ることで、かえって早くローンを組めるようになる可能性も出てきます。

このまま借金を抱えていても、状況が良くなる可能性は低い

このまま債務整理をせずに借金を抱え続けても、「状況が好転する=自力で完済できる」可能性は決して高くはありません。

今までの収入・支出の状況では借金が膨らむばかりだった場合、借金を自力で完済するためには新たなお金が必要となります。

まとまったお金を入手できる確実な見込みや、収入が増える確実な予定、支出が減る確実な予定でもない限り、このままでは利息や遅延損害金で借金が膨らむばかりです。そして、返済できずにいれば、給与の一部分や預貯金などの財産を債権者から差し押さえられて、さらに生活が苦しくなるおそれもあります。

「もう返済できない!」とお思いの方は、できるだけ早めに債務整理をご検討ください。

【まとめ】買取り金融を利用したら、かえって状況が悪化する危険あり

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「買取り金融」とは、商品の売買代金のやり取りをしているように見せかけて高利でお金を貸し付ける、新手の闇金のこと。
  • 買取り金融の手口には、主に次の2つがある。

(1)後払い型
利用者が商品レビュー書込み→業者からレビュー報酬の振込み→商品代金として高額請求
(2)先払い型
利用者が商品の写真を送信→業者から商品代金の振込み→商品を送らない違約金として高額請求

  • 買取り金融を利用してしまうと、次のような被害を受けるおそれがある。

(1)高額の請求を受けるおそれ
(2)厳しい取立てを受けるおそれ
(3)個人情報を悪用されるおそれ

  • たとえこれ以上借金できない、返済もできないという状況でも、買取り金融などの闇金の利用はNG。
  • 今まで抱えてしまった借金について、「債務整理」で支払いの負担を軽減して家計を立て直すことがおすすめ。

コロナ禍で家計が苦しくなり、買取り金融が頭をよぎってしまった人も少なくないことと思います。

確かに買取り金融を利用すれば、一時的にお金が入ってきます。ですが、買取り金融の業者は利用者の窮状につけ込んで、法外な金額を請求してきます。これでは、かえって状況が悪化してしまいます。

そのため買取金融に手を出すのではなく、早めに債務整理をした方が、その分早く家計を立て直せる可能性があります。

アディーレ法律事務所の弁護士は、窮地を脱出したいというお気持ちに寄り添い、最適な解決方法をご提案します。

アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。

また、完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、弁護士費用をいただいておりますので、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。

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この記事の監修弁護士
谷崎 翔
弁護士 谷崎 翔

困りごとが起きた時,ひとりで考え込むだけでは,どうしても気持ちが暗い方向に向かいがちで,よい解決策も思い浮かばないものです。そのようなときは,ひとりで抱え込まないで,まず専門家に相談することが,解決への近道ではないでしょうか。どのようなことでも結構ですので,思い悩まずにご相談ください。依頼者の方々が相談後に肩の荷を降ろして,すっきりとした気持ちで事務所を後にできるよう,誠心誠意力を尽くします。

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